始めるまでに時間が掛ったり。
面倒と関わる能力について紹介しよう。
- 面倒は実行機能と関係する
実行機能は「やりとげる力」「成す力」とも呼ばれています。
何かを成そうとする場合、その目標へ向かって過大抽出や時間配分や手順建てなどを行い計画通りに実行する必要があります。
その過程で実行機能は働きます。例えば、成したい目標を面倒という感情が妨げているとしたなら、それは感情の実行機能である感情抑制を育てると良いでしょう。
- 実行機能は大きく2種類ある
実行機能は感情と思考に大きく分ける事ができます。
詳しく説明していきましょう。リンク先を見ると続きを読めます。運営継続のご協力をお願いします。
お名前.com- 感情の実行機能
欲求や感情を制御する機能です。やりたいやりたくないの様な気持ちに関わります。
乗り物に例えれば、アクセルとブレーキの役割をします。ダイエットを目標としているのに、目前に菓子があったとしましょう。
目標があるのにこれを食べようとするのがアクセルです。快楽原則に従います。快楽原則については自我の気づきを参考にしてください。
目標遂行の為に我慢したり、野菜へ注意を移すのがブレーキです。ストレスで効きにくくなります。感情の実行機能は誕生時はアクセルだけの状態で、乳児~幼児期でブレーキが著しく伸び、青年期でブレーキが弱まる一方でアクセルが強くなります。
その後は環境によって伸び方が変わります。
幼少期は親の話をよく聞いてくれても、青年期は友達の話を優先しがちです。
この友達が悪友ならアクセルが強くなります。何か行うときに一人だと無難に過ごすのに、悪友に一緒だと度が過ぎてしまう事があります。
この友達が周囲から一目置かれるような優等生なら、何か行う時に一緒に居るとブレーキが効くようになります。 - 思考の実行機能
無意識な癖や習慣を制御する機能です。手段や手順に関わります。
乗り物に例えれば、ハンドルの役割をします。普段は右手を使う習慣があったとして、菓子を食べる目標があったましょう。
しかし利き手を怪我している場合は、目標遂行の為に左手を使おうと思考するのがハンドルです。
このとき動かす手に感情は関係ありませんね。
もう1つ例を挙げましょう。例えば、家路はいつも通る道が同じ癖があったとします。
しかし郵便局へ寄る目標があった場合は、目標遂行の為に道を変えようと思考するのもハンドルです。
- 実行機能は細かく12種類の能力がある
実行機能は大きく2種類に分ける事が出来ますが、詳細に分けるなら12種類に分ける事ができます。文献によっては6種類に分けている場合もあるので図解に記載しておきます。
ここでは12種類に分けて説明を進めます。- 注意持続能力
気が散ったり、疲れたり、退屈したりしても、対象に注意を向け続ける能力です。
下記の4種類があります。- 選択的注意
- 必要な対象に注意を向ける
- 転換性注意
- 注意の対象を他へ移す
- 分配性注意
- 複数を対象に同時に注意を向ける
- 持続的注意
- 単数を対象に注意し続ける
例えば宿題を例に挙げましょう。
選択的注意は反応抑制能力やメタ認知能力や持続的注意と関りながら宿題を開始します。
転換性注意は認知柔軟性能力と関りながら宿題を解きます。
分配性注意はワーキングメモリ能力と関りながら宿題を遂行します。
持続的注意は気が散らないように宿題を遂行します。宿題の遂行が難しいなら次のような改善が期待できるかもしれません。
宿題を始めるのが難しい場合は、反応抑制能力やメタ認知能力を働かせる工夫をすると良いでしょう。
宿題を解くのが難しい場合は、認知柔軟性能力を働かせる工夫をすると良いでしょう。
宿題を続けるのが難しい場合は、注意持続能力の持続性注意を働かせる工夫をすると良いでしょう。 - 反応抑制能力
自動的な反応を抑える能力です。
反応抑制能力が働いているなら、状況に応じた適切な行いを考える事ができます。
反応抑制能力が働いてないなら、衝動的になったり不適切な行いをしてしまいます。例えば、なんとなく間食をした場合は、反応抑制能力が働いてないと考えられるでしょう。
ワーキングメモリ能力の働きで今の行いと食物に意識を向け、且つメタ認知能力で時間や空腹感など現状に気づければ、反応抑制能力が働き衝動的な飲食を抑制できます。 ワーキングメモリ能力やメタ認知能力の改善に伴い、この能力も改善が期待できるでしょう。
- 感情制御能力
目標達成、課題遂行、行動制御や方向付けのために、感情を制御する能力です。
感情制御能力が働いているなら、緊急事態でも冷静です。
感情制御能力が働いてないなら、落ち着かなかったり気が動転したり混乱したりします。感情制御能力はメタ認知能力が基礎にあります。感情を自覚する為です。
感情制御能力は認知柔軟性能力も関わります。落ち着いて注意や考え方を切り替える為です。
アンガーマネジメントの習得や、メタ認知能力や認知柔軟性能力の改善に伴い、この能力も改善が期待できるでしょう。 - ワーキングメモリ能力
複数の事を同時に行う能力です。これを並行処理と言います。
ワーキングメモリ能力が働いているなら、既知の情報、今の情報や、新たな情報を、一時的に保持できます。
この情報とは、聴覚(言語や音声)、視覚、触覚、味覚、嗅覚、など多くの知覚を指します。例えば、読書の字を言葉や文として理解するために一時的に保持します。
登場人物の様子や場面は絵として一時的保持します。
保持したら、注意持続能力の持続的注意を働かせて読書に集中します。
そして今の情報や新たな情報の単語から意味を理解し、情報の経緯を脳内で描写します。予定を書き出したり学んだ事を整頓するなど、思い出す行いを繰り返し継続する事でワーキングメモリ能力の改善が期待できるでしょう。
- 課題開始能力
課題を時間通りに開始する能力です。
状況を把握していると物事を予定通り進められるでしょう。例えば掃除です。面倒な思いに行動が制御されます。
ワーキングメモリ能力やメタ認知能力が働いていれば、俯瞰視して今やっておいた方が後で楽だと気づきます。
感情制御能力が働いていると、面倒に思っても、律することができるでしょう。
計画優先順位付け能力、目標持続能力が働いていると、面倒に思わずにタスクとして消化するでしょう。
メタ認知能力や時間管理能力が働いていると、所要時間や時間配分などの管理が行えるでしょう。
面倒に思う要因は俯瞰視か感情か優先順位か目標か時間管理か見抜くと改善しやすいでしょう。 - 計画優先順位付け能力
要点を見抜いてやり方を考える能力です。
この能力の優先順位付けが働いていると、メタ認知能力で現状を把握し、ワーキングメモリ能力で選択肢を検討します。
この能力の計画が働いていると、整理体系化能力を活かしながら、メタ認知能力で全体を把握し、感情制御能力で臆さずに、反応抑制能力で適切に対応しながら、柔軟に時間管理できます。 やる事を列挙し、優先度の判断基準を可視化して優先度の高い順に並べ替える事を継続する事で改善を期待できます。 - 整理体系化能力
情報を整理整理して記憶し、保持し続けて必要な時に思い出す能力です。
この能力はワーキングメモリ能力と深く関わります。
また、様々な視点を持つには、認知柔軟性能力やメタ認知能力を働かせます。この能力が働いているとワーキングメモリ能力や注意持続能力の分配的注意と連動して自ら思い出せるので、物忘れが少なくなるようです。
物忘れをしがちな場合は、手段やスキルで補うと改善を期待できます。 - 時間管理能力
残り時間や時間配分やスケジュールなどを見積もる能力です。
この能力は、ワーキングメモリ能力やメタ認知能力をはじめ、多くの能力と関わります。例えば免許取得に目標にする例を挙げましょう。
まずはメタ認知能力で過去や現在や未来の時間軸を俯瞰し現状を把握します。
次に理想と現在の差を埋めるためにワーキングメモリ能力と連動しながらやるべき事の時間配分を行います。
そして計画優先順位付け能力や、整理体系化能力で、予定を計画します。
課題開始能力、反応抑制能力、注意持続能力の持続的注意、目標持続能力、メタ認知能力、ワーキングメモリ能力で、進捗管理を行います。
随時、認知柔軟性能力や計画優先順位付け能力で計画を修正しながら反復学習を継続する事で改善を期待できます。 - 認知柔軟性能力
未知への対処や失敗時に、考え方や戦略を変える能力です。
認知柔軟性能力は交流の気づきで紹介した反抗心が少ない方が養われやすいと思われます。
認知柔軟性能力が働いていると、全体像や自他の違いを俯瞰したりルールのグレーゾーンを観察して柔軟性を発揮します。
認知柔軟性能力が働いてないと、完璧主義になったり白黒思考になったり高望みになる傾向があります。また、ワーキングメモリ能力やメタ認知能力が低くなりがちで、全体像や俯瞰視が苦手だったり、仲間外れになった経験があったり自尊心が低くなる傾向があります。認知柔軟性能力を養うには、目標との差や課題や手順やルール変更基準等を明確化、必要であれば可視化すると良いでしょう。
例えば、味噌汁に入れるニラを買いに行って、ニラが無かったら葱を買う、葱も無かったら帰るといった感じです。
この例の目標はニラの味噌汁を作る事です。ここでは葱で代用できる事にします。
目標との差はニラが手元に無い事です。そのため課題はニラを入手する事になります。手順はお店へ行ってニラを買う事です。
ルール変更基準は2つ有ります。1つ目はお店にニラが無い事です。この場合は葱で代用します。2つ目は葱も無い事です。この場合は何も買わずに帰宅します。
これらの内容を明確化し、必要であれば可視化します。反復学習を継続する事で改善を期待できます。 - メタ認知能力
いつ、どこで、誰が、何を考え、何を感じて、何故、どんな振る舞いで、何を行っているか等の現況を俯瞰して考察する能力です。
メタ認知能力が働いていると、自己評価や思考検証などが出来ます。この能力は、普段から自分の感覚や思いを考えて居る時に働いています。
例えば「何か疲れているな」「自分はどうしたいのだろう」のような自己問答時に働きます。
つまり、最近の振り返りを習慣化すれば改善を期待できます。 - 目標持続能力
目標持続能力は2つの要素があります。
1つ目は理想と現状の差を理解し、目標への距離感を把握したり現実的な目標を立てる事です。
目標がとても遠く感じたり、非現実的な目標を立ててしまう場合はこの要素を伸ばすと良いでしょう。2つ目は短期的報酬の誘惑に負けずに長期的報酬を得ようと目標達成まで継続する事です。セルフコントロールといいます。
例えばダイエットする目標を例に挙げましょう。
長期的報酬として適度な運動食生活を維持すると健康や美しさを得ます。
短期的報酬として菓子などを食べて一時的な満足感を得ます。
短期的報酬の誘惑に負けず長期的報酬事を目指し行動を継続するのが目標持続能力のセルフコントロールです。
短期的報酬を過大評価し、長期的報酬を過小評価してしまう場合はこの要素を伸ばすと良いでしょう。 - ストレス耐性能力
不確実性、変化、成果への要求に対処し、ストレスの多い状況を生き抜く能力です。
ストレス耐性能力が高く働いていると、変化の多い生活に適応できます。
ストレス耐性能力が標準または低いと、慣れた事や知っている事を好み、次の変化を知りたがります。ストレス耐性能力を育てるには、事前準備をせずに状況変化の多い挑戦をすると改善を期待できます。
- 便利道具
実行機能を伸ばす際に活用できる道具を紹介します。
紙でアナログ管理する方法と、スマホやPCでデジタル管理する方法があります。個人差があるので適応しやすい管理手段を選ぶと良いでしょう。
伝わりやすさや記憶しやすさも個人差があるので伝達手段は口頭やメモ以外にも写真や絵や音声メモなど様々な手段を模索しましょう。- 予定表、スケジュール帳
- 予定を列挙した予定表と、予定を時間配分して計画したスケジュール帳です。
- チェックリスト
- 手順や要点を並べ替えて列挙したチェックリストです。
- メモ、付箋、ファイル
- 一時的記憶補助のメモと、リマインド役の付箋と、資料整理用のファイルです。
- 貼り紙
- 施錠や消灯や家庭内ルールなどの重要事項のリマインド役です。
- 時計、タイマー
- 時間管理用の時計と、行動の切り替え用のタイマーです。
- 2種類の伸ばし方
実行機能の伸ばし方には2種類あります。
自主性を尊重した支援的な伸ばし方と、対象者を管理する統制的な伸ばし方です。- 支援的な伸ばし方
対象者が自ら努力している際に、対象者の今の実行機能の能力に合わせて最低限のコツやヒントを出して支える伸ばし方です。
対象者が主体的ではない場合や、1から10まで手取り足取り支えてしまう場合や、代行する場合は効果が薄くなります。
対象者側に主導があり、支援者側にも実行機能を求められます。 - 管理的な伸ばし方
対象者を管理し、支援者側に主導がある伸ばし方です。 支援者が対象者へ何度も指示しても行動を起こさなければ罰を与えるのは典型的な例です。 支援者が極端な管理をすると、対象者は自己管理ができなくなります。 適切な管理をすると、対象者は伸びやすくなります。
- 具体的な手段
実行機能の改善手段は個人でできる事があれば複数人でできる事もあります。
下記に例を紹介します。- 反復練習
ひたすら練習や学習を繰り返す事です。
- 振り返り
過去を振り返り、自ら気づき学びを見つける事です。
反復練習に振り返りを加えるとより改善を期待できるでしょう。 - 運動
振り返り時に落ち着いて考える事が苦手な場合は、自分にあった運動負荷を掛けると良いでしょう。
特にテニスやサッカーのような、感情や行動の制御を長時間持続するものが良いようです。 - 音楽
リズム、ピッチ、メロディの特徴、概念、理論など多岐を学習すると改善が見られるようです。
- マインドフルネス
瞑想やヨガを通じて、身体や精神や呼吸など、今この瞬間に集中し改善を期待します。
呼吸に注意を向け気が散りそうになったら再び呼吸に注意を向けたり、自然に感謝しながら味覚や嗅覚を発揮させたり、身体感覚を学び身体の制御を行ったり、感情を学び感情制御を行います。 - 反面教師
他人を見て自分に応用できる改善点を自己学習します。
- 独り言
あえて独り言を行います。
2歳までの言葉は伝達目的で発せられる事が多いですが、その後5歳までは「これ何だろう」「これ好き」など自ら考える為の独り言が増えます。5歳以降から独り言は減ります。
自ら考える事を後押しする独り言は実行機能の改善が期待できます。 - 外的補助
管理的な伸ばし方を他者に頼ったり、前述の便利道具を利用します。
- 模倣
劇のように役になりきり模倣します。 シナリオやルールに則り自らの行動を律する過程で実行機能の改善が期待できます。
能力を伸ばせば面倒に感じなくなるんだね。
でもそのモヤモヤが成長の実感だから、まずはやってみるといいぜ!