第14話

 フムフムは後を追っています。

 少しずつねこのほしを離れていきます。それほど離れない場所になにやら宇宙船みたいなものが見えてきました。しかし、それは一面が氷で覆われていたのです。

「あそこかな。みるからに寒そうだけど……」

 そう思っている最中もフムフムは寒さを感じていました。

 しかし、後を追います。

 すると、一面氷で覆われている場所に着きました。

 ここが敵地だということをうっかりとしていました。

 氷の結晶が少し離れたところに見えます。それに気づいたフムフムは物陰に隠れます。 

「危ない……誰かいた……」

 フムフムは深呼吸をしました。吐く息が白くなります。

「寒いなぁ……あっ! 見失っちゃう!」

 フムフムは物陰からひょっこり顔を出し、追う姿を確認します。他に敵の姿がないことも確認すると、後を追いました。

 そのようなことをしていると、とある場所に着いていました。

 氷の結晶のような神々しい形と対面しています。

 フムフムは物陰からひょっこり顔を出して様子を伺います。

 その氷の結晶の中心には、小さくて白いシルエットの人間の少女が浮いていました。

 

 無表情なのか眠っているのかはわかりません。

「そう、わかったわ。ラシャイ、さがっていいわよ。」

 小さくそんな声が聞こえてきました。

 なにかをラシャイは伝えたようです。

 そしていつの間にかラシャイは姿を消していました。

「そこにいるのはわかっています。出てきなさい」

 フムフムは物陰でドキッと身体を震わせました。

 おそるおそるフムフムは出ていきます。

 するといきなり、シュッとなにかがフムフムの頬をかすりました。

 振り向くと氷の刀が落ちています。

 それを見た瞬間、フムフムは吹っ飛びました。

 地面に倒れこみます。

「なにが……」

 お腹に痛みだけが残っていました。

 起き上がり、前を向くと、小さな氷の結晶たちが立ちふさがっていました。

「私はクライス。ここでは私が絶対だ」



 小さな氷の結晶たちは次々と鋭い結晶を飛ばしてきます。


 ――シュッ――シュッ――。


 それは、フムフムに向かってきます。

 フムフムはスターチップ草から放たれる星屑で防ぐしかありません。

 その上、クライスも鋭い攻撃を放ってきます。小さな氷の結晶たちの攻撃とは比べ物にならないぐらい鋭く早かったのです。

 スターチップ草の星屑では負けてしまいます。

 何故ならクライスが放った鋭い氷の刀は星屑を消し飛ばし、その上フムフムに一直線に向かってきたのです。

 その攻撃はフムフムの腕をかすりました。

 防ぐのがやっとのフムフムですが、一瞬の隙をついて、クライスに向けて星屑を飛ばしました。

 しかし、それは小さな氷の結晶が身体で防いだのです。

「これじゃ当たらない!」

 だんだんと敵の攻撃が見えるようになってきたフムフムは、反射的によけれるようになってきました。


 ――ヒュッ――ヒュッ――。


 スターチップ草の星屑で敵の鋭い攻撃を相殺させる必要が減ってきたのです。

「これでどうだ!」

 フムフムはクライスの鋭い氷の刀の攻撃に向けて、スターチップ草の星屑を飛ばしました。


 ――キンッ――。


「当たらない! もう一回!」


 ――キンッ――。


「くそうっ、もう一回!」


 ――シュッ――。


 二発目までの星屑は相殺されましたが、三発目の星屑はクラシスに一直線に飛んでいきます。

 その星屑はクラシスの真ん中にいる少女に直撃しました。

「きいてない……のか?」

 クラシスに反応はありません。

 そして、また攻撃が飛んできます。今までと比べてスピードは落ちていて、簡単によけることができました。

 けれど、結晶の大きさは大きくなっていました。



 ――ボーン――。



 フムフムの背後から大きな音がしました。

 振り返ってみると、大きな氷の塊が崩れていました。

「なんて力なんだ……あんなもの当たれば……ううん、違う」

 フムフムは首をブンブンと振りました。

「当たらなければいいんだ! そうだ!」

 しかし、小さな氷の結晶たちの攻撃はやむことはありません。

 それでもフムフムは攻撃をかわします。

 星屑で相殺させて、攻撃を防ぎます。

「今だ!」

 一瞬の隙をついて、フムフムは最大限の力でスターチップ草を振り、星屑を飛ばしました。

 その星屑はクラシスの少女に直撃します。


 ――ピキッ――ピキッピキッ――。


 クラシスにヒビが入り少しずつ割れていきます。


 ――パッキーン――。


 クラシスが割れました。そして粉々に散ったと思えば、氷で覆われたこの場所をのものまで、どんどんと崩れていきます。

「なに? どういうこと?」

 フムフムは何が何だかわからず、きょろきょろとしていました。

「なにしてんだ! 脱出するぞ!」

 フムフムの手を引いたのは、騎士長ネコアクリスでした。

「アクリス、なんでここに」

「話はあとだ!」

 フムフムはアクリスと共に脱出しました。

	
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挿絵イラスト : ぱじかわ仮面

アニメ原画、ゲーム等のキャラクターデザインを経て、現在はフリーのイラストレーター・絵コンテマン。
ご縁があり小説版フムフムの挿し絵を担当させて頂くことになりました!
つやぷに(造語)した可愛いものが好きなので楽しいです💖
素敵な世界観が伝わるようにがんばります!

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