騎士長ネコ、アクリスに助けられたフムフムはねこのほしに戻ってきました。 「一人で無茶しやがって、なんで誘わなかったんだよ」 フムフムはアクリスに軽く頭を叩かれます。 それでもフムフムは笑っていました。 アクリスなりの優しさだったのです。 城下町に行ってみると、町のみんなが家から出てきていました。 「これでもう寒くはないな。ほんとにありがとうな」 「僕はなにも」 アクリスに感謝されたフムフムは、照れ臭くなり顔を赤くしました。 「じゃぁニャオウさんに報告だけしてくるよ」 「疲れてんだろ。俺がやっとくからよ」 「でも……」 フムフムはアクリスに背中を押されました。 その時、ニャオウがフムフムのところにやってきました。 「町が騒がしいから出てきてみたら……そういうことだったのか……」 「そうなんですよ。フムフムがやってくれました」 アクリスはニャオウの隣で言いました。 ニャオウは町の騒がしさと、アクリスの説明により、状況を理解しました。 「私からも礼を言おう。ありがとう」 「いや、だから……僕はなにも……そろそろ帰るよ」 フムフムはふわっと宙に浮きます。 「元気でな」 「アクリスも」 フムフムはチラッと町を見ると、二人の影が見えました。 会長ネコバローロとその娘、ポムでした。 フムフムは浮いたまま、近づいていきます。 「あ、えと、ごめんなさい。なにか色々と勘違いしてたみたいで」 ポムはバローロについての誤解を、バローロ本人から聞いていました。フムフムもバローロもお互い様だったのです。 「もういいんだよ。僕も悪かったし……」 「本当にありがとうな。みんな喜んでる」 フムフムはバローロとポムに今まであったことを説明しました。 「そういうことがあったのか……みずくさいな。声かけてくれりゃぁ助けたのに」 バローロもアクリスと同じことを言ってくれました。 バローロもポムもアクリスも、本当は優しかったのです。 「それじゃぁね」 「うん。元気で」 フムフムとポムは別れの挨拶を交わします。 フムフムは空高くへと羽ばたきました。 「あら、もう帰っちゃうの?」 空で出会ったのは魔女ネコのセイリアでした。 「あのときはごめん。酷いことをしてごめん」 「私のほうこそ、わるかったわ。お詫びと言ってはあれだけど、私の魔法で送ってあげるわ」 フムフムはセイリアの魔法にかかり力を入れなくても進んでいきます。 フムフムはねこのほしから宇宙に出たところで後ろを振り向きました。しかし、身体を進んでいます。 「じゃぁ元気でね」 セイリアの声がします。 フムフムはアクリスやバローロ、ポム、セイリアに手を振りました。 「うん!」 そして、フムフムは自分のほしに帰っていきます。 ねこのほしが少しずつ小さくなっていきます。 フムフムはやがて自分のほしに帰ってきました。 すると、家の前でクスクスが待っていました。 「おかえりなさい。大丈夫だった?」 「うん。どうしているの?」 「なんとなくよ。そろそろかなって」 「でもなにも伝えてないのにどうして?」 「フムフムちゃんのことだから、なんとなくね」 クスクスはフムフムを抱き締めました。 「こんなにも怪我して」 クスクスはフムフムの傷痕をソッと触ります。 「いたっ」 「手当てもしなきゃね」 クスクスは微笑みました。 「あ、うん。ありがとう……色々と大変だったんだから」ツイートそう言いながらフムフムとクスクスは家に入っていきました。 家の明かりは灯り、とても暖かそうで、楽しそうな二人の影が窓越しに見えました。
アニメ原画、ゲーム等のキャラクターデザインを経て、現在はフリーのイラストレーター・絵コンテマン。
ご縁があり小説版フムフムの挿し絵を担当させて頂くことになりました!
つやぷに(造語)した可愛いものが好きなので楽しいです💖
素敵な世界観が伝わるようにがんばります!
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