翌夜、フムフムはバローロを探していました。 昨晩と同じ場所に行ってみますが姿はありません。 この広い空の中、昨晩の場所がわかったのは、そこにお星様が居なかったからです。 その時、気になることが起きました。 遠くの方でお星様が一つ一つ消えていくのが見えたのです。 フムフムは思いました。 (バローロがお星様を取っているのかも……!) ――ビューン――。 フムフムは風に乗り、バローロがいるであろう場所まで急ぎます。 思った通りバローロはそこにいました。 「また、君かね」 袋にはいくつかのお星様が詰め込まれています。 「昨日、あれほど言ったのに!」 「私も言っただろう。価値観が違うのだよ。それとも何だね? この星たちは全部君の物だというのかね?」 「そ、そーゆーわけじゃ……」 そうなのです。このお星様たちは決してフムフムのものではありません。 「ならば黙っていてくれたまえ」 「でも、あなたのでもない……」 「なんだと?」 バローロはフムフムをにらみつけました。 しばらくして、フムフムがあまりにもしつこいので、イライラし始めたのです。 バローロは袋に詰めていた星屑をフムフムに投げつけました。ビュンビュン勢い良く飛んできた星屑を避けることができないフムフムは身体に傷を追いました。 「アハッ……」 フムフムは声にならない声を発します。 それでも一歩も引かないフムフムは、それほどお星様を美しく感じていたのです。 「私は娘のために稼がなければならないのだ! 君に何が分かる!」 バローロは再び星屑をフムフムに投げつけました。 避けもせずただただ受け止めるフムフム。傷は増える一方です。 フムフムにはバローロの親心が見えていました。それを受け止めるという気持ちで星屑の攻撃を交わさずに何度も受け続けたのです。 「もう良いだろう。あきらめたまえ!」 「お、父さん、だって言うなら……こんな方法じゃなくて、もっと真面目に働いたら良いじゃないか!」 「黙れ! 君に何が分かると言うのだ!」 バローロはまた、星屑を投げつけました。それを真正面で受けたフムフムは、ふらつきながら口にします。 「むす、娘さんは……このお星様を……見てないの?」 「星だと……? 君に娘の話をは関係ないだろう!」 「こんなにもきれいなお星様が無くなっちゃったら、きっと悲しむよ!」 フムフムはスターチップ草を振り回し星屑を飛ばしました。 急に星屑が飛んできたことに驚いたのか、バローロは目を閉じて手で顔を塞ぎました。 「痛……っ! やめたまえ!」 顔をあげて叫んだバローロは、煙の塊を飛ばしてきます。ケホケホッと咳き込んだフムフムは顔の辺りに受けた煙を払うために耳をブンブンと振り回しました。 「娘か……この星がなくなったら……悲しむかね……」 バローロはフムフムの傷だらけの身体を、娘の心の傷を重ね合わせたのです。 「そう言われてみれば……娘が小さい頃、一緒に良く星を見上げてたな……すっかり忘れてたよ……」 バローロは眼から数滴の涙を溢します。 「わかってくれたなら、良かった……」 フムフムは安心して、身体から力が抜けて落ちていきます。 その後、フムフムはバローロに助けられ、目を覚ました時には何処か知らない場所でした。 なにやら暗い部屋でベッドに寝ていました。 フムフムはまだ状況の把握が出来ずにキョトンとしています。 そして、枕元に一枚の手紙を見つけます。 "色々とすまなかった。君の言うことが正しかったようだ" バローロはフムフムに置き手紙を残していました。ツイート
アニメ原画、ゲーム等のキャラクターデザインを経て、現在はフリーのイラストレーター・絵コンテマン。
ご縁があり小説版フムフムの挿し絵を担当させて頂くことになりました!
つやぷに(造語)した可愛いものが好きなので楽しいです💖
素敵な世界観が伝わるようにがんばります!