フムフムはやがて、ネコの星見えるところまで来ていました。 ネコの星の上空には灰色っぽい雲が広がっています。 だんだんと近づくにつれて、寒くなってきました。 「雪なのかな?」 霧のようになっていて、地上がなかなか見えません。 なにやら三角のとんがり帽子みたいなものが見えます。 それはお城でした。 お城ということは城下町もあるはずです。 フムフムは地上へ降り立ちました。 「誰もいないのかな?」 しばらく歩いてみても、全くネコを見かけません。 家の中の明かりは薄暗く、はっきりとは見えません。 けれど、家の中で暖をとっていることはわかりました。 「家も中にはいるのか……」 街を歩くネコは少ないけど一匹だけ前方から歩いてきました。 フムフムはさっと物陰に隠れてやり過ごします。 やがて、城下町を抜けたフムフムは、お城の前に立ち、見上げました。 「おっきーなー」 お城の中にフムフムは入っていきます。 そこでネコの王様、ニャオウと会いました。 「僕はフムフム、あなたは?」 「この星の王、ニャオウだ。何か用かな?」 フムフムとニャオウは、それからしばらく話し合いました。 「なぜ星を奪うの?」 フムフムはニャオウに聞きました。 「暖をとるためのエネルギーにしてるからだ」 ニャオウは答えます。 「どうして……でも……やめてくれると助かるんだけど……」 ニャオウの言っていることはわかったけれど、フムフムにも事情はあります。 「できない。既存のエネルギーは使い果たした。星は残された手段だ。民を守りたい」 「それでもボクだって困ってるんだ」 「我々も困っている」 フムフムはニャオウの気持ちを理解はしましたが、納得はできませんでした。 「こうなったら……」 ニャオウは自分の身体の周囲にオーブのようなものを、何処からともなく浮かべました。 そのオーブから赤い星を飛ばしてきたのです。 フムフムは油断していたので、その赤い星が顔面に当たります。 その赤い星でフムフムは吹っ飛んでしまいます。 (いたい!) 声にならないような声を発したフムフムは立ち上がります。 「いきなりなにをするんだ」 「フムフムとやらが、わからず屋だからだ。仕方がない」 また赤い星が飛んできました。とっさにフムフムはスターチップ草を振り、星屑を飛ばしました。 その星屑は赤い星と当たり、相殺しました。 「なんだ。そんなことができるのか」 「やるしかないんだ!」 フムフムは二度、三度とスターチップ草を振り、星屑を飛ばしました。 しかし、ニャオウに当たる気がしません。ことごとくオーブから出る赤い星に相殺されます。 「何をしたって無駄だぞ」 フムフムは急に身震いをしました。 「寒い……」 何処からともなく、冷気がやって来ました。 「またか……」 ニャオウは呟きました。 「寒くなってきたね……ねぇニャオウさん」 ニャオウはフムフムになにも言いません。 フムフムはお城を出ました。ニャオウはフムフムをゆっくりと追います。 外に出るとフムフムは空を見上げました。 とある方角を見てみると、こちらに向かって雪雲が向かってきていました。 「あっちになにかあるのかな?」 「そう、寒さは星の裏からやってくる。しかし調査を派遣する余裕がない」 「僕、行って見てくるよ」 それを聞いたフムフムは星の裏側へ行くことにしました。 そんなフムフムにニャオウはなにも言いませんでした。ツイート
アニメ原画、ゲーム等のキャラクターデザインを経て、現在はフリーのイラストレーター・絵コンテマン。
ご縁があり小説版フムフムの挿し絵を担当させて頂くことになりました!
つやぷに(造語)した可愛いものが好きなので楽しいです💖
素敵な世界観が伝わるようにがんばります!
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