第06話

 フムフムはセイリアを追い払ってから、毎晩のように空を飛んでいました。

 お星様がなくならないか、気になって仕方がなかったのです。

 フムフムなりのパトロールでした。

「今日も異常はないかな。いつも通りお星様はたくさんあるし……よかった!」

 セイリアはあれ以来現れることはありませんでした。

 しかし、フムフムは今夜一つの影を見つけました。

 月の逆光で、シルエットだけが見えています。

 それはもう成層圏に近いところでした。

 フムフムは恐る恐る近づくと、そこには一匹のネコがいました。

「あのー」 

 フムフムは小さな声で呼び掛けました。

 そのネコは振り返りました。

「なんだ?」

 ハットを被り、葉巻を加え、ダンディーなオスのネコでした。

「どちら……様ですか?」 
 


 フムフムはその風貌に少しおびえながらも聞きました。

 「私はねこのほし商店会の会長ネコをしているバローロという」


「なにをしているんですか? その手に持っているものは?」

 バローロの手に持っているものがお星様だとは見てわかっていました。そのお星様をどうするつもりなのかを知りたかったのです。

「あ? あぁ、これか」

 バローロは手に持っているものをフムフムに見せつけました。

「星だ」



「どうして……」

「知っているかね? 星は高く売れるのだよ。 これで稼ごうと思ってな……君にも一つぐらいくれてやろう」

 バローロはお星様を一つ、フムフムに差し出しました。

 フムフムはソッとそのお星様を受け取ります。そして大切そうに胸に抱きました。

「別にお星様じゃなくてもいいんじゃないかな? ほら見てみてよ。こんなにもきれ……い」

 フムフムは辺りを見渡し青ざめました。バローロの回りにはお星様が一つもなかったのです。

 そのお星様たちはバローロが持つ、袋に入れられていました。袋が煌々と輝いています。

「この辺りの星は取り尽くしてしまったからな。他に行く事にしよう。では、さらばだ。」

 バローロは背を向けて歩き出しました。

「待ってよ!」

 フムフムはバローロの前に回り込み、立ちはだかります。

(怖いけど……)

 今ここで止めないと取り返しのつかないことになります。

「どいてくれたまえ。進めないではないか」

 バローロは右腕をバッと広げ、追い払う仕草をします。

「そういうわけにはいかない。こんなにもきれいなのに取っていくなんて酷いよ!」

「それは君の価値観だろう? 私にとってこの星は商売道具なのだ」

「返してくれるまで、ここを動かないから」

「君の熱心さには感心するよ」

 バローロは口から葉巻を離すと、ハァーっと煙をフムフムに吹き掛けました。

 視界が悪くなり、煙で息が変になります。

 フムフムは何回か咳き込み、落ち着くと、羽をバタバタと羽ばたかせて煙を飛ばしました。

「あれ? え? 何処行ったんだ?」

 目の前にバローロの姿はありません。辺りを見渡しても見当たりません。

 葉巻の煙はフムフムの視界を奪うめくらましだったのです。

 それからしばらく辺りを飛び回ってみましたが、バローロの姿は見当たりません。

「逃げられた……?」

フムフムはまた明日、バローロの姿を探しに来ることにしました。
	
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ライター : 紀州桜玲

シナリオライターです。シナリオ、小説、全年齢、成人向けを書いてます。
日々勉強です。


挿絵イラスト : ぱじかわ仮面

アニメ原画、ゲーム等のキャラクターデザインを経て、現在はフリーのイラストレーター・絵コンテマン。
ご縁があり小説版フムフムの挿し絵を担当させて頂くことになりました!
つやぷに(造語)した可愛いものが好きなので楽しいです💖
素敵な世界観が伝わるようにがんばります!

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