第03話

 三角帽子を被り、色とりどりの瓶をぶら下げたホウキに乗った、人程の大きさの猫は、まるで魔女のように振る舞い、手のひらに星形の赤い光を浮かべました。

  光に照らされ、ようやく姿をはっきり見る事ができました。



「ウチらの仕事を邪魔しないでよね」

  魔女ネコ、はジトッとした目でこちらを見つめます。

 「どうして星を持って行くの?」

 「……あなた、その星運んで行って」

  その魔女猫は、星を運び出す係りの猫に指示をだし、話を続けました。

 「星は良いエネルギーだからよ……」

  一呼吸おいて落ち着いた様子で話を続けます。

 「あたしはセイリア、星からエネルギーを取り出す専門家なワケ。エネルギーを使って色々役立たせて貰うわ」

  このままでは夜空に浮かぶ星が奪われてしまいます。もう、この空に星は見当たりません。雲ひとつ無い今夜はまん丸お月様だけの寂しい夜です。

 「そういう訳だから星は貰って行くわね」

 「持って行かないで!」

  納得できないフムフムは、運ばれて行く星を追いかけようと体勢を変えました。

 「――邪魔なのよ!」 

  ビュンっとセイリアは赤い星を放ちました。あわてて回避し、スターチップ草を持つ手に汗を握ります。

 「面倒くさいわね。痛い目みないとダメかしら」

  再びセイリアは赤い光を繰り出し そして―― ビュンッ――!!

  攻撃をかわします。

(応戦するしかないのか――)

 フムフムはスターチップ草を振り回し星屑を飛ばしました。

 「あら、良い物持ってるわねー。それが攻撃のつもり?」

  ホウキに乗ってスイスイと移動し、星屑はあっさり回避され、一つも当たりません。 

(困ったな……) 

 セイリアは再び赤い光を繰り出し、それを刃のごとく飛ばし、フムフムはなんとか回避します。

 「どうして星を持って行くのさ!」

 「あんたは気にしなくていいわよ。あたし達にはそれが必要なだけ」

  ビュンッ ビュンッ ビュンッ 会話が進みながらも赤い光は風を刻むように飛び交います。フムフムは避けながら星屑を飛ばしますが、当たりません。

(このままじゃ疲れるだけだ……) 

 よく見るとセイリアのホウキも速度が鈍っているようで、疲れているような様子がうかがえます。

  フムフムはスターチップ草を何度も振りバラバラと星屑を散らかすように飛ばしました。星屑はゆっくりゆっくり四方八方に飛び交います。

  疲労しているセイリアは始め回避していましたが、いくつかの星屑がホウキにぶら下がっている瓶にあたってしいました。

  ピキピキっとヒビが入り中の液体がもれだします。

 「――!?」

  セイリアの顔つきが急に青ざめ、焦り始めました。



 「ああっ、せっかく出来たのに――!」

  液体は弱い光を放ちながらセイリアの手のひらからこぼれおち、いくつもの小さな雫となって地上へ向かっておちて行きました。

 「こうしちゃいられないわ――! 」

  セイリアは落ち着きを失い、慌てた様子で去っていきました。ただフムフムにはそれが不可解でした。

  夜空の星は失われ、まん丸お月様がフムフムを明るく照らします。 
	
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ライター : 紀州桜玲

小説執筆歴12年。全力で頑張って書いてます。
日々精進し依頼を頂くことも増え、実績は着実に増えています!
最近はシナリオ、脚本も担当させていただいており、そちらも勉強しています。

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